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民事信託で安心の資産承継|神奈川県の弁護士が教える具体的な活用ケース

執筆者の写真: 誠 大石誠 大石

更新日:2月19日

はじめに:民事信託とは?相続対策としての重要性

「自分が元気なうちに、将来の相続や財産管理の準備をしておきたい」と考えたことはありませんか?特に、高齢化が進む日本では、認知症による資産凍結や相続トラブルを防ぐ手段として、「民事信託(家族信託)」が注目されています。

例えば、親が認知症になってしまうと、預金の引き出しや不動産の売却ができなくなる可能性があります。また、遺産分割をめぐる家族の争いや、不動産を複数の相続人で共有することによる管理の難しさも問題になります。こうした課題を解決する方法のひとつが民事信託です。

民事信託を活用すると、あらかじめ指定した方法で財産を管理・承継でき、スムーズな相続や資産運用が可能になります。特に、神奈川県のように都市部と郊外が混在するエリアでは、不動産の相続・管理の問題が多く、信託の活用がより重要になります。

本記事では、神奈川県の弁護士が、民事信託の具体的な活用ケース6選をわかりやすく解説します。あなたやご家族の大切な財産を守るためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。


神奈川県での民事信託の活用ケース6選


① 認知症による資産凍結を防ぐ

日本では高齢化が進み、65歳以上の約7人に1人が認知症になるといわれています。

特に神奈川県のような都市部では、高齢者が資産を持ったまま認知症になり、家族が財産を動かせなくなるケースが増えています。

ケース1:横浜市のAさん(75歳)の事例

Aさんは、横浜市内に自宅と賃貸アパートを所有していました。しかし、将来認知症になった場合、賃貸収入の管理や不動産の修繕ができなくなることを心配していました。

そこで、息子Bさんを受託者(財産管理をする人)とする民事信託を設定し、賃貸物件の管理を任せることにしました。

→ 結果:

Aさんが認知症になった後も、Bさんが適切に家賃収入を管理し、修繕や売却の判断もスムーズにできるようになりました。

成年後見制度を利用すると、裁判所の監督が入るため、不動産の売却には許可が必要で手続きが煩雑になります。一方で、民事信託を活用すれば、あらかじめ決めたルールに沿って、家族が財産を管理できるため、より柔軟な運用が可能です。


② 遺産分割トラブルを未然に防ぐ

遺産分割は、多くの家族にとって相続トラブルの火種となります。

特に、共有不動産がある場合、兄弟姉妹間で意見が合わず、売却や管理が滞ることがよくあります。

ケース2:川崎市のBさん(68歳)の事例

Bさんは、川崎市に戸建て住宅を所有しており、3人の子どもがいます。Bさんが亡くなった後、3人が不動産を共有することになると、「売る」「貸す」「住み続ける」と意見が分かれ、トラブルに発展する可能性がありました。

そこでBさんは、生前に長男Cさんを受託者とする民事信託を設定し、Cさんが不動産を管理・運用できるようにしました。信託契約の中で、「売却は長男Cさんが決定し、売却代金を3人で分配する」などのルールを明確に定めました。

→ 結果:

Bさんの死後、スムーズに不動産が売却され、相続人同士の争いを防ぐことができました。

神奈川県内では、相続後に放置される空き家問題も深刻化しています。民事信託を活用することで、不動産の管理責任を明確にし、スムーズな相続が可能になります。


③ 特定の相続人に財産を確実に承継する

民事信託は、特定の相続人に確実に財産を引き継ぎたい場合にも有効です。

特に、「内縁の妻」「障害のある子ども」「特定の孫」など、通常の遺言だけでは対応が難しいケースで活用できます。

ケース3:藤沢市のDさん(72歳)の事例

Dさんは、長年連れ添った内縁の妻Eさんと暮らしていました。しかし、法律上、内縁の妻は相続人ではなく、遺言がなければ財産を受け取ることができません。

Dさんは、「遺言を書くだけでは、子どもたちが遺留分を主張し、内縁の妻が十分な財産を受け取れないかもしれない」と考え、民事信託を活用しました。Eさんを受益者とし、Dさんの財産の一部をEさんの生活費として給付するように信託契約を設定しました。

→ 結果:

Dさんの死後、Eさんは安定した生活資金を受け取ることができ、子どもたちとのトラブルも回避できました。

このように、遺言では実現しにくい財産承継の方法も、民事信託を活用すれば可能になります。


④ 親亡き後の障害者の生活を支援する

障害のある子どもを持つ親にとって、「自分が亡くなった後、子どもが経済的に困らず生活できるか?」は大きな不安要素です。

民事信託を活用すれば、財産を計画的に管理し、子どもの生活を支える仕組みを作ることが可能です。

ケース4:鎌倉市のFさん(70歳)の事例

Fさんには、軽度の知的障害を持つ息子Gさん(40歳)がいます。Gさんは日常生活はある程度自立していますが、お金の管理が苦手で、一度に大きな額を手にすると使い込んでしまう可能性がありました。

Fさんは、信託契約を活用し、自分が亡くなった後もGさんの生活費が定期的に支払われる仕組みを作ることにしました。

  • Fさんの財産(自宅と預貯金)を信託財産として設定

  • 受託者は長女Hさんとし、財産管理を担当

  • さんには毎月決まった額の生活費が支払われる仕組みに

→ 結果:

Fさんが亡くなった後も、長女Hさんの管理のもと、Gさんは安定した生活を続けることができた。

通常、親が亡くなると、障害のある子どもは相続によって財産を受け取りますが、その後の管理が問題になります。成年後見制度を利用すると自由度が低くなるため、民事信託を活用することで、家族が主体となって財産を柔軟に管理できるのが大きなメリットです。


⑤ 不動産の共有状態を回避する

不動産を相続する際、相続人が複数いると共有状態になることがよくあります。

しかし、共有不動産は売却や活用の際に意見が割れ、トラブルの原因になりがちです。民事信託を利用すれば、特定の人が管理できる仕組みを作ることが可能です。

ケース5:相模原市のIさん(65歳)の事例

Iさんは、自宅と別荘の2つの不動産を持っており、3人の子どもに相続させたいと考えていました。しかし、不動産を3人で共有すると、

  • 「売りたい」「貸したい」「そのまま使いたい」と意見が対立する

  • 一部の相続人が反対すると売却ができない

  • 固定資産税の負担割合でトラブルになる

といった問題が発生する可能性がありました。

そこでIさんは、長男Jさんを受託者とする民事信託を設定し、不動産の管理・売却の権限をJさんに一任する形にしました。

→ 結果:

Iさんが亡くなった後、Jさんが適切に不動産を売却し、兄弟間で公平に分配できた。

特に、神奈川県のような都市部では、不動産の価値が高いため、相続後の活用や売却をスムーズに行うために民事信託を使うメリットが大きいと言えます。


⑥ 浪費癖のある相続人への対策

遺産を一括で相続すると、短期間で使い果たしてしまう可能性があります。

特に、浪費癖のある相続人がいる場合、計画的に財産を分配する方法を考えることが重要です。

ケース6:横須賀市のKさん(72歳)の事例

Kさんには、ギャンブル好きな息子Lさん(40歳)がいました。Kさんは「自分が亡くなった後に、Lさんが遺産をすぐに使い果たしてしまうのではないか」と心配していました。

そこで、Lさんへの相続分を信託財産とし、受託者に娘Mさんを指定。Lさんには毎月定額の生活費のみを支給する形に設定しました。

信託契約では、

  • 毎月20万円をLさんに支払う(残りは管理)

  • 住居費・医療費などの支払いはMさんが管理

  • 特定の条件(例:借金を作らない)を満たせば追加支給も可能

→ 結果:

Lさんは一度に大金を手にすることなく、計画的に遺産を受け取ることができた。

このように、民事信託を利用すれば、相続人の特性に合わせて柔軟に財産を管理することが可能です。特に、浪費癖のある子どもや、依存症のリスクがある相続人がいる場合は、有効な対策となります。


民事信託を活用する際の注意点

信託契約の適切な設計が重要

民事信託を適切に活用するためには、契約内容をしっかり設計することが重要です。特に以下の3つのポイントに注意する必要があります。


1. 受託者の選定

民事信託では、受託者(財産を管理・運用する人)を指定します。受託者には大きな権限が与えられるため、慎重に選ぶことが重要です。

信頼できる家族を選ぶ(例:配偶者、子ども)

第三者(信託会社)を活用する

補助的な監督者(士業を信託監督人に)を設定する

ケース1:横浜市のNさん(68歳)の事例

Nさんは、長男Oさんを受託者に指定しました。しかし、Oさんは仕事が忙しく、財産管理が難しかったため、専門の信託会社に管理を依頼する形に変更しました。

→ 結果:Oさんは必要な判断だけを行い、実際の管理は専門家が対応できたため、負担が軽減された。


2. 信託の終了時のルールを決める

民事信託は、いつ・どのように終了するかをあらかじめ決めておく必要があります。終了後の財産の帰属先(誰に渡すか)も明確にしておきましょう。

特定の人に財産を戻す(例:次の相続人)

売却して分配する

公益団体に寄付するなど


3. 途中での変更が難しい場合がある

民事信託は、一度契約すると簡単には変更できません。将来のライフプランを考慮し、慎重に契約を設計しましょう。


税務・法律面のポイント

民事信託を活用すると、相続税や贈与税に影響を及ぼす可能性があります。また、遺留分(法定相続人の最低限の取り分)にも注意が必要です。


1. 相続税・贈与税への影響

  • 受益者が財産を取得すると、相続税が発生する場合がある。

  • 信託契約の内容によっては、贈与税が課税されることもある。

ケース2:川崎市のPさん(75歳)の事例

Pさんは、孫に財産を残すために信託を活用しました。しかし、信託の設定方法によっては「生前贈与」とみなされ、贈与税が発生するリスクがありました。そこで、弁護士と税理士のアドバイスを受け、適切な契約内容に調整しました。

→ 結果:税負担を抑えながら、孫に財産を残すことができた。


2. 遺留分との関係

民事信託を利用しても、法定相続人の遺留分(最低限の相続分)を侵害すると、後からトラブルになる可能性があります。信託を設定する際には、法定相続人の権利も考慮することが重要です。

遺留分を考慮した財産分配を計画する

相続人に事前に説明し、納得してもらう


神奈川県の弁護士が対応できること

民事信託は非常に便利な制度ですが、専門的な知識が必要です。神奈川県で民事信託を検討する場合、弁護士に相談することで、より安心して手続きを進めることができます。


1. 信託契約書の作成

弁護士は、家族の状況や財産の内容に応じて、最適な契約書を作成します。契約書の内容が不明確だと、後々トラブルになる可能性があるため、専門家のチェックが重要です。


2. 受託者・受益者のサポート

弁護士は、受託者が適切に財産を管理できるようサポートします。また、信託監督人として関与し、信託が適切に運用されるようチェックすることも可能です。


3. 相続・税務のトータルサポート

信託だけでなく、相続全般に関するアドバイスや、税理士と連携した税務対策もサポートできます。


まとめ|神奈川県での民事信託の活用を検討しよう

これまで解説してきたように、民事信託はさまざまな場面で活用できます。特に、以下のような方にとって大きなメリットがあります。

認知症による資産凍結を防ぎたい

遺産分割トラブルを避けたい

特定の相続人に確実に財産を承継したい

障害のある家族の将来を支えたい

不動産の共有を避けたい

浪費癖のある相続人への対策をしたい

民事信託は、一般的な遺言や成年後見制度では実現できない柔軟な財産管理を可能にする制度です。ただし、契約設計や税務面での注意点も多いため、弁護士や専門家と相談しながら進めることが大切です。


神奈川県で民事信託の相談をするなら?

民事信託の設定を検討している方は、まず専門家に相談することをおすすめします。神奈川県には、信託に強い弁護士や税理士が在籍する法律事務所が多数あります。

無料相談・セミナー情報

現在、神奈川県内の法律事務所では、民事信託に関する無料相談会やセミナーを開催していることがあります。例えば、

横浜市・川崎市の法律事務所での無料相談会

相模原市・藤沢市の弁護士によるオンライン相談

信託の実例を交えたセミナー(不動産オーナー向け)

最新の情報をチェックしながら、信頼できる専門家に相談することが、成功への第一歩です。


以上、民事信託で安心の資産承継|神奈川県の弁護士が教える具体的な活用ケースでした。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

【今すぐ相談予約をする】

電話:〔045-663-2294


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