top of page
執筆者の写真誠 大石

弁護士が解説:認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議(川崎対応)

更新日:23 時間前

はじめに


認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議はどう進めるべき?

相続手続きで「父死亡・母認知症」のようなケースに直面すると、多くの方が「どう進めたらいいのかわからない」と悩みます。特に、認知症の相続人がいる場合、その相続人が遺産分割協議に参加する意思能力を持っているかどうかが重要なポイントとなります。

意思能力がある場合は本人が協議に参加できますが、ない場合には成年後見制度を利用する必要があります。また、成年後見制度を使う際には、利益相反を避けるための特別代理人の選任など、法律的な手続きも発生します。

この記事では、川崎エリアにお住まいの方を対象に、認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議を進める手順や注意点を、弁護士の視点からわかりやすく解説します。成年後見制度の詳細や具体例も交え、解決策を明確にしていきます。


認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議の基本


遺産分割協議は、相続人全員が話し合い、遺産をどのように分けるかを決定する重要な手続きです。しかし、共同相続人の中に認知症などで意思能力がない方がいる場合、そのままでは協議を進めることができません。ここでは、遺産分割協議を適法かつ円滑に進めるために押さえておくべきポイントを解説します。


遺産分割協議に必要な意思能力とは


遺産分割協議を成立させるには、すべての相続人が「判断能力」を有している必要があります。

  • 判断能力が認められる場合

    認知症の程度が軽度で、専門医の診断書などに基づき判断能力があると判断されれば、本人が協議に参加し、自ら合意することが可能です。この場合、特別な手続きは必要ありません。

  • 判断能力が認められない場合

    認知症が進行している場合や判断能力が低下している場合は、成年後見制度を活用して、成年後見人が本人の代わりに協議に参加する必要があります。この制度を利用しない限り、協議を進めることは法律的に無効となります。


成年後見制度の必要性


判断能力がない場合、家庭裁判所で成年後見人を選任する手続きを行います。

成年後見制度の目的は、認知症の相続人の権利と利益を守ることです。成年後見人は、以下のような役割を果たします:

  1. 認知症の相続人の利益を代表

    成年後見人は、認知症の相続人が不利にならないよう、適切に協議を進めます。

  2. 公正さを確保

    他の相続人との間に利益相反が生じないよう、家庭裁判所の監督下で公平な協議を行います。

成年後見制度を利用することで、遺産分割協議は法的に有効なものとなり、トラブルを回避しやすくなります。


川崎で利用できる成年後見制度の活用方法


認知症の相続人がいる場合、意思能力がないと判断されたときに活用するのが成年後見制度です。この制度は、家庭裁判所に申し立てを行い、認知症の相続人の代理人となる成年後見人を選任する手続きです。ここでは、川崎エリアでこの制度を利用する際の具体的な手順や注意点を解説します。


成年後見人の選任とその役割


成年後見人は、認知症の相続人に代わって遺産分割協議に参加する重要な役割を担います。選任のプロセスや、実際の協議における成年後見人の役割を見ていきましょう。

  • 成年後見人の選任手続き

  • 家庭裁判所への申し立て

    家庭裁判所に成年後見制度の申し立てを行います。申立人は、相続人や親族であることが一般的ですが、必要に応じて弁護士などの専門家がサポートすることも可能です。

  • 必要書類の準備

    • 認知症の診断書

    • 成年後見申し立て書

    • 相続人の戸籍謄本

    • 家庭裁判所が求める追加資料

  • 成年後見人の役割

    成年後見人は、以下のような役割を果たします:

    • 認知症の相続人の利益を保護すること

    • 他の相続人との協議が公平に進むよう調整すること

    • 家庭裁判所の監督下で適法に手続きを進めること


利益相反がある場合の特別代理人選任手続き


成年後見人が他の共同相続人である場合、利益相反の問題が生じる可能性があります。

この場合、家庭裁判所に申し立てを行い「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

  • 特別代理人とは

    特別代理人は、成年後見人に代わり認知症の相続人の利益を守る役割を果たします。例えば、遺産分割協議の内容が成年後見人の利益に影響を与える場合、特別代理人が交渉や合意を進めることで、公平性を確保します。

  • 特別代理人選任の流れ

    家庭裁判所への申し立て

    必要書類の提出(成年後見人の申立書、特別代理人選任申請書など)

    家庭裁判所が適任者を選任

専門家のサポートを得ることで、スムーズに進めることが可能です。


弁護士が解説する実務的な進め方と注意点


認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議は、成年後見制度を利用しても課題が多く、スムーズに進めるには弁護士などの専門家の関与が重要です。ここでは、実務的な進め方と押さえるべき注意点を弁護士の視点から解説します。


成年後見制度と特別代理人を活用した実務的な対応


成年後見人や特別代理人を選任するだけでなく、その後の協議や手続き全体を円滑に進めるための具体的な手法を見ていきます。

  • 遺産分割協議書の作成

    成年後見人や特別代理人が参加して協議を進める際、最終的に法的に有効な遺産分割協議書を作成することが必要です。この書類にはすべての相続人の署名と押印が必要であり、弁護士が関与することで内容の妥当性と法的適格性を確保できます。

  • 家庭裁判所への報告

    成年後見人が行った協議内容は、家庭裁判所へ定期的に報告する義務があります。弁護士の助言を受けながら進めることが重要です。


遺産分割協議がまとまらない場合の対処法


もし協議が難航し、相続人間で意見が対立する場合には、家庭裁判所での調停や審判が必要になることがあります。

  • 遺産分割調停

    家庭裁判所が第三者として間に入り、公正な調整を行います。調停は裁判に比べて柔軟な解決が期待できるため、初期段階で利用するのが一般的です。

  • 遺産分割審判

    調停が成立しない場合、審判によって裁判所が遺産分割を強制的に決定します。審判では、法的な観点から公平性が判断されるため、弁護士が代理人として関与することで有利に進められる可能性が高まります。


注意点:成年後見制度の費用と時間

  • 時間の負担

    成年後見制度の申し立てには数か月かかることが一般的です。その間、遺産分割協議を進めることができないため、早めの準備が必要です。

  • 費用の負担

    成年後見制度や特別代理人の選任には手続き費用がかかります。これに加えて弁護士を依頼する場合の費用も考慮する必要があります。費用を抑えながらスムーズに進めるためには、地域の無料相談や弁護士会のサポートを活用するのも有効です。


川崎での具体的な解決事例~「父死亡・母認知症」~


実際に「父が死亡し、母が認知症」という状況で相続手続きを行った事例を紹介します。成年後見制度を活用した成功例や、弁護士が関与することでスムーズに解決したケースを通じて、手続きの進め方を具体的に理解していただけます。


成年後見制度を利用してスムーズに解決した事例


ケース概要

川崎市在住のAさん一家では、父親が亡くなり遺産分割協議を進める必要がありましたが、母親が中度の認知症を患っており意思能力を欠いている状況でした。

他の相続人(子ども3人)は、母親を含めた協議が必要であることを理解していましたが、進め方がわからず弁護士に相談しました。


解決プロセス

  1. 成年後見人の選任

    弁護士のサポートを受けながら、家庭裁判所に成年後見人選任を申し立てました。母親の診断書や必要書類を整えた結果、家族とは利害関係のない第三者が成年後見人として選任されました。

  2. 遺産分割協議の実施

    成年後見人が母親を代理して協議に参加。他の相続人と公平な条件で話し合いが行われ、最終的に合意が成立しました。

  3. 家庭裁判所への報告

    協議終了後、成年後見人は遺産分割協議書を家庭裁判所に提出し、手続きが正式に完了しました。


ポイント

成年後見制度を活用したことで、母親の利益を保護しながら協議をスムーズに進めることができました。弁護士の助言があったことで、必要な手続きや書類準備が効率的に行われた点も成功の要因です。


弁護士が介入して利益相反を回避したケース


ケース概要

Bさん一家では、父親の遺産を分割する際に母親が認知症であり、かつ成年後見人候補となる長男が相続人の一人でした。この場合、利益相反が問題となり、通常の成年後見人では適正な協議が難しい状況でした。


解決プロセス

  1. 特別代理人の選任

    弁護士の助けを借りて、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てました。特別代理人は、母親の利益を最優先に考えた交渉を行いました。

  2. 調停を活用した協議の成立

    特別代理人が関与し、公平性を確保しながら家庭裁判所で調停が行われました。相続人間での話し合いがまとまり、調停を通じて遺産分割が確定しました。


ポイント

利益相反が発生する場合でも、特別代理人を選任することで法的な問題を回避できました。また、弁護士が家庭裁判所との調整を行ったため、手続きが円滑に進みました。


まとめと弁護士への相談のすすめ


認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議は、意思能力の確認や成年後見制度の活用、利益相反への対応など、通常の相続手続きよりも多くの法的課題を含みます。こうした課題を適切に解決するには、法律に基づいた手続きと専門家のサポートが欠かせません。

成年後見制度を利用することで、認知症の相続人の利益を守りながら協議を進めることが可能です。また、特別代理人の選任や家庭裁判所の調停を活用すれば、相続人間の公平性を確保しつつ手続きを完了させることができます。

川崎エリアでは、家庭裁判所や専門家への相談がスムーズに行える環境が整っています。特に弁護士に相談することで、手続きの複雑さや書類作成の負担を軽減し、最適な解決策を見つけることができます。

「父死亡・母認知症」のようなケースでお困りの方は、弁護士に早めに相談することをおすすめします。初回相談を無料で提供している事務所も多いので、まずは気軽に問い合わせてみましょう。


以上、「弁護士が解説:認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議(川崎対応)」でした。


弁護士 大石誠

横浜市中区日本大通17番地JPR横浜日本大通ビル10階 横浜平和法律事務所

【今すぐ、電話で相談予約をする】

電話:〔045-663-2294


弁護士が解説:認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議(川崎対応)

閲覧数:3回
bottom of page