【メモ】いわゆる危急時遺言について、民法所定の口授、筆記、読み聞かせ等の事実が認められないとして、遺言の無効を確認した事例
- 誠 大石
- 4月8日
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更新日:4月14日
遺言無効確認請求控訴事件 東京高裁 令和6年8月29日判決
原審(横浜地裁)は、自宅において遺言の趣旨を口授したとの事実を認定した上で、同日に入院先の病院において遺言の趣旨を口授したとする本件遺言の記載と口授の場所が異なる点は遺言の無効原因にならないとした。
これに対して控訴審は、そもそも被相続人による遺言の趣旨の口授、作成者により筆記、読み聞かせ等の事実が認められないとした。
・口授等がなされた日付や場所等に関する証人の供述内容が合理的な理由もなく一致せず又は変遷している。そして口授等の場面を撮影した動画等の証拠は提出されなかったようであり、口授等の事実を認めるための信用できる証拠はないと判断した。
・遺言確認審判の存在自体が遺言無効確認訴訟を担当する裁判官の心証に影響することはない。
・証人が知り合い、親戚の弁護士、知り合いの司法書士であり、証人3名の属性に照らすと、他の相続人との関係で本来的に中立的な立場の者とはいえず、虚偽の危急時遺言を作成する動機がなかったとはいえない。
・遺言書作成当時の体調について、自筆証書遺言等、普通方式での作成を断念せざるを得ないような客観的状況ではなかった(入院中だが、病院の許可を得て一時帰宅していた)。